バレーボールの用語、「ブレイク」と「サイドアウト」。ここ数年でTV中継でも使われ始めたこの用語をしっかりと理解することでバレーボールがより深く、より楽しくなります。
今回はこの2つの用語について説明していきます。
ブレイクとサイドアウトの違い
ブレイクとは
ブレイクとは、サーブ側のチームが得点すること。
サイドアウトとは
サイドアウトとは、レセプション側のチームが得点すること。
用語の意味自体はとてもシンプルです。「この場面はブレイクが欲しい」や「サイドアウトが続いている」というように使います。
用語の意味を知るだけではブレイクとサイドアウトを理解したとは言えませんので、意味を知ったところで、それぞれの特性・特徴を考えてみます。
ブレイクとサイドアウトの特性
ブレイクの特性
セットの一番初めの得点を除いて、ブレイクは連続得点となります。バレーボールは2点差以上付かないと決着しないというルールがありますが、交互に得点していては2点差が付きません。つまり、どちらかのチームがブレイクしない限り決着がつかないという特性があります。試合に勝つためには、ブレイクが必要となるのです。
そのため、ブレイクの能力が高いチームは「勝ちやすいチーム」と言えます。
サイドアウトの特性
ブレイクの裏返しとなりますが、「1回でサイドアウトする限り負けない」という特徴があります。サイドアウトの能力が高いチームは「負けにくいチーム」と言えます。
ブレイクでもサイドアウトでもどちらも1点になりますが、その1点の意味合いは全く別の意図があることを理解しておきましょう。
攻撃的・守備的という言葉の違和感
何となく、連続得点となるブレイクは攻撃的である印象を受けます。またサイドアウトが得意なチームは守備的な印象があります。
しかし、(一概には言えませんが)ブレイクの1点は、サーブ・ブロック・ディグのトータルディフェンスによって取る得点、サイドアウトはレセプションからのオフェンス力によって取る得点となります。
そう考えると、(25-15)のような一方的な得点はトータルディフェンスの優れたチームのスコアであり、最初の「ブレイクは攻撃的」という印象に違和感を覚えます。バレーボールにおいては「ブレイク力のある」や「サイドアウトが得意な」という形容詞のほうがしっくりきます。
「攻撃的」「守備的」という言葉を使用するときはこの点に注意しましょう。

By: Martin Charette
ブレイクするためのプレー、サイドアウトするためのプレー
バレーボールは大きく分けて、6つのプレーがあります。
- サーブ
- レセプション
- セット(トス)
- アタック
- ブロック
- ディグ
この6つのプレーは「ブレイクするためのプレー」と「サイドアウトするためのプレー」とで優先順位を付けるとそのプレーの特性が浮かび上がってきます。
【ブレイクのためのプレー】
↑サーブ
│ブロック
│ディグ
│アタック
│セット(トス)
↓レセプション
【サイドアウトのためのプレー】
ブレイクは勝つための得点
ブレイクする能力がゼロのチームは勝つことができません。
極端なたとえですが、全くサーブが入らないチームは相手のファール(ポジショナルフォールトなど)が無い限りブレイクできません。
試合に勝ちたいと思うなら、サーブを中心としたトータルディフェンス力を高める練習が必要となります。
接戦は盛り上がるが・・・
サイドアウトをずっと繰り返して点差が付かない状態や30点を越えるような展開は、手に汗握るとてもシビれる試合ですよね。観戦していてもプレーしていても、もっとも盛り上がる展開と言えます。
しかし、ここまで読んできた方なら分かるとおもいますが、「両チームともブレイクする能力が低い」ということが要因です。
ここでは
- どんなサーブを打っているか
- ブロックは機能しているか
という視点で見ると、ツウっぽくなります。
(指導者であれば、最低限持っていて欲しい観点です。)
セッターとブロッカー交代の意図
全日本の試合を見ていると、背の低い(ブロックが得意でない)セッターと背の高い(ブロックが得意そうな)プレイヤーを交替することがあります。
「セット(トス)は誰がするの?」と思う方もいますが、上述したプレー優先順位を見てもらえれば分かるはず。
セット(トス)よりブロックの方がブレイクするのに重要なプレーであるため、よりブロックの強いプレーヤーと交代しているのです。
ブレイクとサイドアウトの特性を理解していると、こうした交代の意図をより正確に読み取ることが出来ます。「ふむふむ、ここはどうしてもブレイクが欲しい場面なんだな」と監督の意図が分かってくると、より観戦が楽しくなりますよ。
用語と用語の背景を知ることが大切
このブログでは何度も言及していますが、用語とその背景を知ることはプレイヤーの能力・観戦者の能力と密接な関係があります。用語を知ること、つまり言語化する能力は、その人のポテンシャルそのものを示していると考えています。
バレー用語を知ることは以下のメリットがあります。
- 実況や解説の理解度が深まる
- 戦術理解も深まる
- 練習意識が変わる
例えば今まで、勝てない理由をレセプションの精度(Aカット・Aパス)にばかり求めていた方は、
勝ちきれないチームはブレイク力不足、接戦に持ち込めないチームはサイドアウト力不足。ということがここまで読んだ方は理解できるかと思います。
用語を知る入口としては、ハイキュー!!を読むことをお勧めします。
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